the second 〜永遠の恋人〜
正月気分が抜けきらず講義も殆ど無いキャンパスはサークルやクラブで訪れる学生の熱気と人っ子一人居ない校舎の静けさとが奇妙に入り交じり独特の雰囲気があった。

温暖な筈だが生まれた時から南紀で過ごしてきた四人には十分過ぎる程、冬は寒い。

未音達の英文学科に雪のような白い肌をした北海道からの学生が一人いて、彼女が言うには南紀の冬は北海道の温かい春のような物らしい。

『寒いよね…樹君は今日もバイト?』

『うん。今日はビルの清掃…じゃなくて火曜は焼き鳥屋だ。紗英ちゃんは?』

『樹君大忙しね。私もバイトよ。今日は家庭教師。この前シューズと板買っちゃったから大変だわ』

四人で歩いていると自然に未音と康太、紗英と樹のカップルになる。紗英達も付き合っている訳じゃないのだが、未音の知る限り二人共恋人は居ない。
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