the second 〜永遠の恋人〜
『分かってるって』

拳で軽く康太の胸を突いた未音は踵を返して無人の校舎に駆け戻った。

『どしたの康太君、未音は?』

『レポート出し忘れたって。先に帰れって言ってた』

『藍原さんもそそっかしいからなぁ…でもこの中じゃ1番成績良いんだよね』

樹が溜息混じりに呟いた。一回生で取得した単位数が樹の場合かなり深刻で未だに年下に混じって体育の授業を受けている。

専門の必修科目以外は殆どが選択なのだが、何故か体育が必修科目で出席日数の足りなかった樹は見事に単位を落としてしまった。

『樹はもうちょっと授業出ないと…日数足りないと試験すら受けられないぞ。俺達卒業しても一人でスキー部するか?』

『康太君ひどおい!あなた達友達でしょ?樹君が留年したら康太君も留年しなさい』
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