the second 〜永遠の恋人〜
手を合わせて哀願するポーズだが顔は笑っている。

いつもこうだ。


弓暢は何処までが本気で何処までが冗談なのか分からない。未音への愛の言葉すら冗談かもしれない。

書籍に埋もれた机の隅で、けたたましく電話が鳴った。

睨みつける未音の視線と電話を交互に見つめた弓暢は渋々受話器を取った。

『はい、弓暢です…あぁ繋いで下さい…。もしもし、俺だ。何?携帯?知らないよ、電池切れじゃないか?鳴ってないよ、うん…今週は帰れないよ。来週からクラブの合宿だ…うん…』

数分話した後、面倒臭そうに受話器を放り投げる。

『ごめんごめん、友達からで…』

そう言って振り返った視線の先にはもう未音は居なかった。

『これだから若い女は…すぐ本気になるから嫌なんだよ』

忌ま忌ましそうな舌打ちが部屋に響き、弓暢は仕方なくもう一度パソコンに向かった。
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