僕らのシナリオ
「さすがに怖いと思って私も止めとけって言ったんだけど……女子って怖いよね。」
「お?吉川って意外と話合いそうだな。」
「でしょ?私ってばおしゃべりなだけで、それなりに話はわかるやつよ?」
「良いね〜、そういうの。」
「ありがと。でも今回の件に関しては、うちの茜とみなみもショック受けちゃったから、なんとも言えないかな〜。」
僕を放ってなぜか意気投合して話し込む中野とちさちゃんにため息をつきながら、僕は立ち上がる。
「お?行くの?」
僕を見上げてパンを食べる中野に僕のパンを預けて、うなずく。
「あのままにはできないし……がんばってくる。」
「お〜、がんばれ!」
「がんばれ!」
中野とちさちゃんの声援を背中に受けながら、僕は教室に戻った。
僕は修羅場の定番、体育倉庫の裏に連れて来られていた。
何人かの女子は、教室で飯島とのことを認めると大人しく帰って行ったのだが……
今ここにいるのは、大人しくない女子たちで。
簡単にいきそうな雰囲気ではなかった。
「聞きたいことはわかるでしょ。」
明らかに、気の強そうな女子。
もう露出とかそういう問題ではないところまで短くされたスカートに、明らかに天然ではない茶髪とパーマ。
そんな3人の女子に囲まれた、見間違いではなかった号泣している女子。
またため息をつきそうになるが、ため息をついたらまた何か言われそうなので、こらえて大人しく質問にだけ答える。
「……本当。付き合ってる人、いるよ。」
「Cクラの飯島夏美?」
「うん。」
「あのさ、この子、知ってる?」
一番気の強そうな女子が、泣いている女子を指差す。
僕は確かに、見覚えがあって。
「Aクラスの東さん、だよね。覚えてるよ。」
「覚えてんだ。じゃあ、知ってんでしょ?この子が三宅くんのこと好きなの。」
「まあ…………」
東さんは夏休み前に僕に手軽をくれて、そのときは2人っきりで呼び出されて、告白をされた。
だから、覚えてる。
「でも、東さんの気持ちはちゃんと断ったよ。」
「知ってるよ。でもこの子は諦められなかったの。」
「………そうなんだ。それで泣いてんの?」
「ちがうよ!三宅くんの相手が飯島夏美なのがショックなの!」
気の強い女子の言葉に、僕は思わず言葉を失う。
東さんもその言葉にうなずいてさらに激しく泣きはじめて。