僕らのシナリオ
その後。
中野のバスケのチームは、簡単にほかのチームを蹴散らしていって、明日の決勝進出を決めた。
さらに宮田さんは……
「ほら!約束のポカリ!」
「あはは!おごり合いだねぇ〜。」
僕が投げたポカリをうれしそうに受け取る宮田さんを見て、思わずため息をついた。
結局宮田さんもあのままAブロックで優勝し、明日の決勝戦に出ることに。
まあ、要するに。
「なんだ?るいちゃん落ち込んでんのか?」
結局明日暇なのは僕だけになった。
3人で夕日の光を浴びて家に帰りながら、中野はずっと僕のことをいじってきた。
「ま、3試合で1失点なら大したもんだよ。」
「………褒めてんの?」
「ちょっとだけな。」
「お前……」
「はいはーい。喧嘩しなーい。」
中野が喧嘩をふっかけ、僕が買い、宮田さんが止める。
さっきから何度も繰り返した展開に思いっきりため息をつく。
中野がそれにうれしそうに笑うのが気に入らないが、もう相手にしないと決めた。
「なあ、三宅。」
「…んー、なんだよ。」
「こんだけ盛り上がってるとさ、シナリオも進むんじゃね?」
「あ、まあね。」
今日の球技大会で、かなり刺激を受けた気がする。
たくさんのスポーツを見て、それぞれの青春を見て、すごくシナリオが書きたくなった。
「んじゃ、よかったじゃん。
結果オーライ!!」
ポカリを僕に突き付けて言う中野の手をはらうと、その向こうで宮田さんが思いっきり笑う。
「ねぇねぇ!
球技大会終わったらさ。
お疲れ〜って意味で遊園地とか行かない?」
そう言う宮田さんの言葉に、中野の表情が思いっきり明るくなる。
「お?いいじゃん!
行こうぜ行こうぜ!
な!いいだろ、三宅。」
「それ最高!
遊園地とか久しぶりすぎて妙にテンション上がる!」
僕がガッツポーズを作ると宮田さんはうれしそうに笑いながら、中野の後ろをまわって僕の自転車のサドルに飛び乗る。
「わわわ!」
突然傾く自転車をなんとか止めて、
「この役は中野だろ?」
と飽きれ顔で宮田さんを見るが、宮田さんはポカリを飲みながら、まあまあと言わんばかりに片手を上げるだけだった。