僕らのシナリオ
その僕の様子を見てまた笑う2人を無視し、飯島さんにも分けながらわたあめを食べる。
「あー、笑いすぎてやばい。
もう俺三宅のこと大好き!」
「ん。キモい。」
「ははは!」
中野は笑いながら、自分も買ってきたらしいわたあめの袋を取り出す。
中野が袋を開こうとしたところで。
ボン!!!
僕は中野のわたあめの袋を思いっきり両手で挟んでやった。
爆発した袋から飛び出たわたあめが少しだけ中野の顔にこびりついていて。
「あははははは!はははは!」
僕は今までにないほどお腹をかかえて笑った。
固まったままの中野がさらに面白い。
「………三宅くんやるじゃーん!!」
同じように固まっていた宮田さんもついに笑い出して、2人でハイタッチをする。
「………ぷ。あはは、あははは!」
高い笑い声のするほうを見ると、飯島さんもお腹を押さえてうつむきながら笑っていて。
それがなんだかうれしくて、僕はさらに笑う。
すると。
「てめぇら…………」
固まっていた中野がやっとゆっくり動きはじめて。
「やばっ!いつもガチのゆうちゃん来るよ!」
「やべ!飯島さんも!」
「え?きゃー!」
全速力で追いかけてくる中野から、僕たちは笑いすぎと走りすぎで痛むお腹をかかえながら逃げた。
あれだけ走ったというのに、バスケをやっているときの中野は嘘みたいに元気だった。
中野は本当に楽しそうにバスケをする。
僕も野球をやるのは好きだったし、見るだけになった今でも好き。
でも、あんなに生き生きとやっていたかどうか考えると、やっぱり中野のことを尊敬する。
「ゆうちゃーん!!!!」
もうほとんどの球技が終了して、バスケの決勝。
今までで一番の多さの観客が、地震のように鳴り響く歓声を上げている。
中野はさっきから何本ものシュートを決めていた。
中野の投げたボールがゴールに吸い込まれるたびに、歓声が波打つ。