*桜色の想い出*
「咲綺───・・・」
その時、怜桜はあたし首に手を回す。
「・・・え?な、何?」
「コレ──・・・」
怜桜が手を放した首元を見てみると、
そこには淡いピンク色のリボンが蝶結びにされていた。
「リボン・・・?」
綺麗な色・・・。
桜色かな・・・?
「咲綺に似合うと思って」
「──え・・・ッ!?」
「あ、あたし・・・ッ!?」
「た、偶々もらったお菓子の箱に付いてた
ヤツで!ちょっといいと思ったから・・・ッ」
何に照れたのか、怜桜は急に言い訳をし出した。
でも今のあたしは"似合う"の言葉が嬉しくて、
何も耳に入ってこない。
似合うのが嬉しいんじゃなくて、
似合うと思った、て言ってくれたのが嬉しかった。
あたしの事を考えてくれた・・・。
思ってくれたんだ・・・って自意識過剰になってしまう。