*桜色の想い出*
病院に着き、急いで
救急手当てを受ける怜桜。


あたしはただ呆然と
その慌しい光景を見ていた。


涙を流して───・・・。



─ヘナッ─


力が抜けてその場へ座り込む。

心の中ではただ怜桜の
無事を祈るだけだった。


「怜桜───・・・ッ」


自分の胸倉をぐっと握る。

自分でも苦しくなるくらい。

爪が皮膚の奥まで喰い込む
のが分かった。
皮が剥けて血が滲んでくる。

血は何の躊躇も無く
流れ落ちていた。



そして、その日は尊く過ぎていった。


あたしはその夜、眠れる訳が無く
一睡も出来ずに朝を迎えた。
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