*桜色の想い出*
─数日後─


今日は怜桜の親が
怜桜の荷物を病室から
運んでいた。


あたしはその光景から
眼を逸らした。


見ているにはあまりにも
辛かった──・・・。


「───・・・ッ」


最近は怜桜の名前を
呼ばない様にしている。


呼ぶと余計に辛くなるから。



こんなのただの現実逃避だって分かってる。

だけど、怜桜を失ったあたしには
立ち直る事が出来ない。



お母さんはこの間、自傷行為を続けるあたしに
『お願い、生きてくれればいいの』
とだけ言った。


その時のあたしにはその言葉が
胸に突き刺さるのが判った。


後に自傷の数は減った。


だけど今もその傷跡は
痛々しく残っている。





怜桜を失った世界は
いつも灰色のままだった。
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