あの夏の君へ
「一生オンリーワンでも良いかも」
広太が隣で「寂しいやん」って言ったのが聞こえたけど…無視。
やって一人は楽なんやもん。
「アホか。一生一人とか惨め」
「は?」
ネクタイを緩めた荻が私に向かって言った。
聞いてたんかい。
「最近そういう大人、増えてるよな」
「何が言いたいん?」
なぜかイライラした口調の彼にしかめっ面で返事を返した。
「お前は将来孤独死やな。死んでも誰にも気づかれへんわ。お陀仏様でした」
荻の冷たい目が私を見つめた。