あの夏の君へ
荻が恋愛のことで考えてることははっきり言って、一ミリたりとも分からない。
荻はばかやし、楽しいことは好きやし、ノリは良い方やけどさ。
恋愛のことについては何を考えているんかさっぱり分からない。
「ただいま〜」
「こんばんわ〜」
「あら亜樹ちゃん。いらっしゃい♪」
私たちが付き合ってることを荻家の皆は知らないみたいやった。
いつも通りやから何の疑いもしなかったんやろう。
「風呂ー」
そう言って、真っ先にお風呂場へと向かう荻。
「え!?私が先やし!!」
「俺やし!!一番風呂は絶対俺やの!!決まってんの!!」
「嫌や〜!!変えて!!お願い!!」
「ケンと遊んどけば良いやん」
「遊ぶけど〜!!私が先」
「お前、図々しすぎるやろ」
まるで荻の家族みたいに、ワガママやって言ってる。
「良いやないの〜。今日くらい亜樹ちゃん先に入らしたりぃよ〜」
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