あの夏の君へ





見ていておかしくて、隣に寝転がった。

「荻ぃ、お風呂あがったで」

「うん…聞こえたで」

まるで子供みたいで、可愛くて、独り占めしたいって思った。

「荻」

「…ん?」

「好きやで」

目の前にある荻の顔。

好きと言った瞬間、パッと目が開いた。

「うわあ。ビビった」

慌てて起き上がった彼は数秒後、また横になる。

「髪触っても良い?」

「うん」

初めて荻が私の髪を触った。

「やばい。良い匂いする」

「お風呂入ったもん」

荻の手が髪をすり抜け、頬へと移動する。





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