あの夏の君へ





「運命ってきっと最初から決まってるんやって。どんなに違うことしたって、神様は見向きもしなくて、それも想定内のうちなんやで、きっと」

いつか別れがあるように。

その別れすらも、はじめから決まっていたもので。

何も知らない人と結婚したり、キスしたり、抱き締め合ったり、子どもが出来たりするんも本間はすでに決まってるもので……。

神様はどうなるか、もう知ってるんちゃうかな。



「未来なんて分からへんよ」

荻が私の胸に顔を埋めた。

「そりゃ別々の道を歩いて、別れてるかもしれやんし、結婚して子どもおるかもしれん。だけどさ、俺たちがずーっと続いてるかもしれやんくない?」





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