あの夏の君へ





荻は埋めていた頭をあげた。

ほのかに香る汗の匂い。

「俺があの学校に行かへんかったら、お前とは会えへんかったように、お前があの学校に行かへんかったら、俺とは会えへんかった。今は無かった」



“俺が生まれたから、お前と出逢えた”

“お前が生まれたから、俺と出逢えた”





“だから俺たちは巡り会えたんやろ”





彼は言いました。

神様に分かっても、私たちには分からないことが沢山あると。







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