あの夏の君へ
それでも変えられると。
特別なのだと。
彼は言い、私は彼の言葉を信じました。
私たちは考えが甘かったのでしょうか。
それとも、幼かっただけでしょうか。
私たちの何がいけなかったんですか?
荻の何が気に入らなかったんですか?
考えが?
理想が?
いけなかったんですか?
それとも、これが運命なのだと?
貴方は言うんですか?
「亜樹、そろそろ風呂入るわ」
「荻…嫌ぁ。側におってや」
着替えを持って、部屋を出ようとする彼の制服のシャツを掴んだ。
「同じ家ん中やんけ」
「離れたくない!!」
「……本間に」
「何よ…。世話焼けるって?」
「違う」
「何ですか!」
「可愛いわあ!!」
頭を掻きながら、彼は少し照れた顔でそう言った。