あの夏の君へ





その言葉を聞いて、私まで顔が赤くなったような気がした。

「…んな可愛かったっけ?」

二人して顔が赤くなって、照れ合った。

確かにバカやったと、幼かったと思うわ。

「腹減ったやろ。飯食って来い」

「荻、早く来てな?」

手を繋いで、一階まで下りた。

放したくなかった。

放せば一生離れたままな気がしたから。


私はきっとこの頃からずっと不安やった。

そして彼もきっとこの頃からずっと抱えきれないほどの不安に押し潰されそうだったんやろう。

自分のことでいっぱいいっぱいで、私は荻の心配すら出来るほどの余裕すらこの時はなかった。






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