あの夏の君へ





「東〜。東茜〜。東は休みか〜?」

最近、茜はパタリと学校へ来なくなった。

茜は荻のことが好きやったみたいやけど……私達が付き合ったことを知ってるんかな。

私達のことを知ってるから、学校に来ないん?

不安な気持ちが頭に過る。

「どしたん?泣きそうな顔やで?」

荻は私の気持ちをいつでも察知しては飛んできてくれた。

「ううん。何も」

「隠し事はすんなよ」

「分かってるーて」

いつもそうやったね。

いつも私の機嫌がおかしかったら、真っ先に来てくれたね。

私はその優しさが当たり前なんやって思ってたわ。


今さら気づいたわ。

本間にあの頃はありがとう…。







< 123 / 278 >

この作品をシェア

pagetop