あの夏の君へ
「東〜。東茜〜。東は休みか〜?」
最近、茜はパタリと学校へ来なくなった。
茜は荻のことが好きやったみたいやけど……私達が付き合ったことを知ってるんかな。
私達のことを知ってるから、学校に来ないん?
不安な気持ちが頭に過る。
「どしたん?泣きそうな顔やで?」
荻は私の気持ちをいつでも察知しては飛んできてくれた。
「ううん。何も」
「隠し事はすんなよ」
「分かってるーて」
いつもそうやったね。
いつも私の機嫌がおかしかったら、真っ先に来てくれたね。
私はその優しさが当たり前なんやって思ってたわ。
今さら気づいたわ。
本間にあの頃はありがとう…。