あの夏の君へ

授業が終わると、さっきの話を聞いていたのか、同じクラスで茜と常に一緒にいた和泉(ｲｽﾞﾐ)が声を掛けてきた。

「ね」

「和泉…」

「新井田くんにはガッカリした。茜は産みたいって言うとるけどさ、新井田くんはアカンって言うてるらしいし」

新井田が?

「新井田くんが茜に言ったらしいわ。お前を亜樹ちゃんに重ねてたって。利用したって。子供が出来たって言われても、はいそうですかって感じやわって。俺には責任とれやんって」

和泉が新井田の事を憎むように言った。

「新井田くんは茜を利用してん。最低やわ」

その言葉に何かを感じた。