あの夏の君へ

すれ違い






新井田が退学して、一ヶ月が経った。

いつも近くをうろついていた人がいなくなると、人間っていうのは悲しくなるもので、つまらないと感じてしまう。

新井田がいなくなった。



“亜樹ちゃん亜樹ちゃん”



いつも犬みたいに走り寄ってくる彼がウザくもあり、きっと好きでもあった。

たまに行くコンビニで彼の笑顔は見れるけど、時々みたいっていうレベルやないんやろうなと感じている自分には気づいていた。


「亜樹、今日」

「ごめん、荻。今日友達と遊ぶねん」

「あ〜まじか」

いつしか、荻の誘いすらも断るようになっていた。







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