あの夏の君へ





「新井田?」

「うん。他の子もいるし、大丈夫やで?」

「…気ぃ付けて行ってこいよ」


新井田と遊ぶって言ったところで、荻は何も言ってこなかった。


行かないでほしいなら、行くなと。

離れてほしくないのなら、側にいろと。


そういう言葉がほしかったんやで…。



荻は何も言ってくれなかった。

だからって新井田とは一方通行で、荻より好きって思えたことはなかった。


荻はそれを分かってたんやろうか。

だから何も言ってくれへんかったん?




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