あの夏の君へ
ある日のお昼休みのことやった。
荻の友達で同じ野球部で、私とも仲の良い長谷部(ハセベ)君が私の所へやってきた。
「ちょい、亜樹氏」
「はい?」
明美とご飯を食べていたら、長谷部君が手招きした。
「あんたに話したいことあるねんけど」
「何?」
「陽向は?」
「お昼は長谷部君らとご飯食べてたんやないん?」
「さっき別れたんよ。亜樹氏ん所来とる思たわ」
そうなんや。と言って、持っていたお弁当からご飯を一口頬張った。