あの夏の君へ





「まあ…言いたいんはな、亜樹氏のことずっと信じてたあいつを責めんといてやってほしいねん。あいつも悩み続けて出した答えやねんから」

長谷部くんが話してくれなかったら、ずっと荻を責めてたかもしれん。

「それに俺には言いよらんけど、あいつは亜樹氏のことまだ好きや思う。朝礼始まる前にずっと亜樹氏のこと探しとったし。見つけたら見つけたで、ずっと見とるし。まあ、見守ってあげてな。あいつは人気者のくせに弱いやつやから」

広い心を持ってあげて、と。





長谷部くんはある話をして、私の前から立ち去った。

明美が近づいてきて、涙を流し続ける私に心配そうに話しかけてきた。





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