あの夏の君へ





縮まらない距離を。

泣きながら追いかけた。

「待って…待ってやぁ…」

好きなの、と。

好きだから、と。

離れていく背中に伝え続けた。

送り続けた。

「好きやねん……荻。待って…行かんといてや!!」



朝になって、目が覚める。

起きたら泣いてる。

夢で泣いたのは生まれて初めてだった。


好きやねん。

なのに何も出来ない。




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