あの夏の君へ
「なぁ……荻…」
「ん??」
「荻の夢って…変わってへん?」
あなたの夢に今も私はいるん?
「……変わってへんよ」
そう言って、彼は優しく微笑んだ。
良かった。
荻は荻のままやった。
「甲子園…行かんとね」
「うん」
「ホームラン打ってな」
「おぅ。もう練習行くわな」
荻は野球帽を深く被った。
「待ってや…!!荻」
「ん?」
寂しい…。
苦しい…。
好きやと…泣いて言いたい…。
「ううん…!!何もないよ!!」
「そか。じゃあな」
言えなかった。
言えるわけない。
本当に本当にあなたの夢に私はいる?
期待していいん??