あの夏の君へ
「ふーん」
荻はつまらなさそうに、ケンにお菓子をあげていた。
「寂しくないん?」
「ん〜分からん。寂しくなるんちゃう?」
「……お前って本間なぞやんな」
余計なお世話。
「寒いし帰ろ」
荻が口を開けた。
「荻も一生独身でいたら良いやん」
「は?」
「そしたら独身同士遊び呆けられるやん」
「…」
「な?」
「俺は結婚とかしたいし。子どもも欲しいし」
「えっ」
「何やねん」
「意外」
「うっさい」
へえ〜…。
そういうんちゃんと考えてるんや。