あの夏の君へ
まさに“意外”だけの一言だった。
ただの野球バカだとしか思ってなかったのに。
野球だけじゃなくて、ちゃんと未来のことも考えてたんやね。
「なあ〜」
「何や?」
急に思った。
「荻って甲子園行ったことあんの?」
「あんで。一回だけ。去年の三年生らは行きはったしな」
「へぇ。今、ベンチやっけ?」
「そう」
今年は行けるんかな。
野球のルールは良く分からない。
サードとか、フライとかは分かるけど…。
遊撃手とか漢字に変換されたら、ちっとも分かんないし…。
「まあベンチ言うても…呼ばれたことないけどな…」
「…そうなん?」
「うん。上手い奴それなりにおるし…」