あの夏の君へ
暑い夕暮れの日差し。
いても立ってもいられなくて、まだ五時やのに家の前に突っ立っていた。
ただひたすらドキドキする鼓動を抑えるように忙しなく、歩き続けた。
早く、時計の針よ、早く…。
時間よ、早く。
一時間後の私と荻に会わせて下さい。
なんて言ってあげようか…。
“おかえり”って笑って迎えてあげるべきなんか。
“おっそいねん”って言ってパンチするべきなんか。
“会いたかってん”って素直に言うべきなんか。
「会いたいは…ちょっと恥ずかしいしやめよかな…」
荻は笑う??
照れる??
バカにする??