あの夏の君へ




何で死んだ荻に会わなあかんの?

私は生きてる荻を待ってたの。




“待っとって”




荻…そうやって言ったやんか。

本間に…遅いで?

本間に本間に…遅い。




遅いねん…。





「なぁー…。荻ぃ……遅いねん…てばぁ…。はよ来てぇやぁぁー…」



荻が…死んだのは分かってる。

…この世にいないことも分かってる。


だけど、待ってしまう。


“遅れた”って笑ってインターホン押してる顔、想像できんねん。




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