あの夏の君へ
「何?」
照れくさそうに、彼が言った。
「絶対甲子園……連れてったるな!!」
照れながらそう言った意味があまり理解できなかった。
「甲子園てさ、みんなの力でなんとかなるもんやろ…?」
「まぁ、そうやけど…?」
「荻の力ひとつで何とかなることしてや」
難しいお願いやったかもしれん。
困った顔をしながら、荻は頭を掻いた。
「じゃぁ……ホームラン!!」
「良いやん!!良いやん!?それに決定!」
そう言って、指切りした。
十六の冬が終わろうとしていた。