あの夏の君へ
「着いたで」
助手席にいた綺麗な女の人が長谷部くんに言った。
黒のバンから、下ろされる。
「亜樹ちゃん…」
一層老けた荻ママに会った。
たくさん苦労してる顔が目の前にいた。
「荻ママぁ…」
「…式…今終わった所なんよ」
そっか、と一言だけ。
嫌な予感がこみ上げてくる。
荻がいると思われる棺おけがこっちに向かってくる。
たくさんの人が来ていた。
野球部の人とか、先生とか。
校長まで…。
あんた、荻のこと知ってんの?
荻の何を知ってんの?
適当にきてんちゃうん?