あの夏の君へ





来る人たちの顔を睨み付けるように見た。

あんたら、荻のこと知らんのんちゃうん?



ニュース見たし、知ってる人やしってだけで来てるんちゃうん?


適当に可哀想やと泣いて帰るんちゃうん?



苛立ちを隠せない。

近づいてくる荻に目を背けた。




怖い。



怖い。






「今から…火葬場な…行くんやけど、二人とも来てくれる?」





何も言わない私を見かねて、長谷部くんがはい、と言った。




広太くんは、俯き続けていた。








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