あの夏の君へ





落ち込み気味で木にもたれ掛かっていた私に声が掛かる。

「新学期早々、暗いねん」

「やって…明美と別のクラスやってんもん」

意外に人見知りやし。

そう簡単には打ち解けられへんし。


泣きたい。


「俺と同じクラスやん」

「嬉しくない…」

「…」

「…」

「…お前のことやし、早くみんなと打ち解けられるって」

「…本間に……?」

おうっとニカッと笑う荻。

少し元気が出た。

「まあ……しゃあないし…我慢しよ……」

「はぁ!?」

ふざけ合いながら、笑っている私たちに写真撮影の順番がやってきた。

「はーい、三組さーん。それでは並んでください」

先生の誘導でヒナダンに上がった。





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