あの夏の君へ





名簿順で私と荻は少しだけ離れていた。

一段目に荻が座っていて、一段挟んで、三段目に私がいた。

荻の真上。

振り返る荻が変顔を見せてくる。


笑かすな!!

密かに思いつつ、カメラマンに目を向ける。

カメラマンの少し後ろには写真撮影が終わったばかりの荻の友達がニヤニヤしながらこっちを見ていた。



「荻ー」

「荻、変顔!!」

いろんな仕草で、変顔を要求してくる彼ら。

私からは荻の顔が見えなくて…残念な限りやった。





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