あの夏の君へ
私、山中 亜樹(ヤマナカ アキ)。
高校一年。
春から二年生。
まあ春って言っても、一ヶ月後?
到頭、春から二年生になるんだと思うと、時っていうものはどれ程早いのかが思い知らされる。
「しゃあないなぁ」
「やった〜」
「早く終わってな」
「分かってるわ」
私達が通う高校はなかなかの野球強豪校。
甲子園にも行ったことがあるとか…。
荻も一年生ながら、ベンチに入れるくらいの腕前の持ち主。
私はというと、今の今まで教室でダラダラしていた。
部活なんかしてないし、家に帰ってもやることがないし、最近になってバイトを辞めたから、今はニート状態。
遊びに行きたくても“お金がない”、“動きたくない”、“面倒くさい”。
私の父親譲りの三大原則が私の体を動かさなかった。