あの夏の君へ





「俺、風呂入ってくるわな」

いつでもどこでも、荻は帰ってきたらまずお風呂。

汗くさいって言われるんが嫌みたいやった。

家で少しご飯を食べていた私はそれほどお腹も空かなかったし、ガヤガヤしている所もあまり好きやなかったから、ミルクティーを持って中庭に出た。

「ケンちゃーん」

雑種のケンの耳の後ろにある黒い毛に鼻をスリスリするのがお気に入り。

「今日は荻の誕生日やで。ケンは荻に何かあげたん?」

ケンとの会話は好き。

伝わってるかは分からへんけど、なんか好き。





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