あの夏の君へ
「おい!待てや、亜樹!!」
腕を掴まれて、彼の手によって振り向かせられる。
「送るわ」
「駅までな」
「家までやしって言うたやんけ!!」
何で荻が怒るん。
意味分からんしっ!?
「茜ちゃんとか泊まらすん?」
「茜?あいつらも帰らす」
「へぇ〜」
「今日はいつもと違うねん。男がおるんよ。いくらあいつらを信用してても、お前に何するか分からへんしな……」
荻は野球部の帽子を被った。
「何で帽子持ってるん」
「あ〜…クセが出た」
そう言って深く帽子を被った。