あの夏の君へ
そこからはいつも通りの仲に戻った。
喧嘩なんてあんまりしない。
今のも喧嘩なんて言わへん。
ただ干渉しすぎただけ。
私たちは友達やねんから。
ガタンゴトンと揺れる夜中の電車。
一車両目に乗ったのは私たち以外、誰もいなかった。
「荻ぃ……眠いし…寝てい?」
「…うん」
荻の肩にもたれ掛かる。
触れている部分に体温を感じて、ほのかに温かい。
荻のシャンプーのいい香りがする。
次第に意識が薄れ、私は眠ってしまった。