あの夏の君へ





そこからはいつも通りの仲に戻った。

喧嘩なんてあんまりしない。

今のも喧嘩なんて言わへん。

ただ干渉しすぎただけ。

私たちは友達やねんから。




ガタンゴトンと揺れる夜中の電車。

一車両目に乗ったのは私たち以外、誰もいなかった。

「荻ぃ……眠いし…寝てい?」

「…うん」

荻の肩にもたれ掛かる。

触れている部分に体温を感じて、ほのかに温かい。

荻のシャンプーのいい香りがする。

次第に意識が薄れ、私は眠ってしまった。






< 57 / 278 >

この作品をシェア

pagetop