あの夏の君へ
「あ。やっと喋った。声可愛い」
「うざいねんお前。うざい」
「冷たいなぁ」
「うざいし、キモいし、チャラいし、無理やし!!」
「あっはは〜上手い上手い♪」
はぁ?
何がやねん。
……何なん、こいつ。
「も〜引っ付かんといて〜」
「亜樹ちゃん、喋ろ〜喋ろ〜」
「暑苦しい〜消えろ〜」
性格もいまいち何も知らないのに、こんなに会話できるんは滅多にない。
面倒臭がりやけど、人見知りでもあるこの私が…。
「うわっ。亜樹が他の男と喋っとるやん。珍しいな〜」
前の扉から入ってきた荻が私たちを見るなり驚いた。
「あ、荻。ヘルプミ〜」
荻は私の横を素通りすると、席に座った。
「仲良さげやん」
そう言いながら、フルーツオレを飲んでいた。