あの夏の君へ





私は気づかないフリをしながら、生きていました。

認めたくなかったんです。

あなたの照れた顔を見ると、こっちまで照れてしまいそうになるんが何より嫌やってん。


だから考えないようにした。

気づかないようにした。


「亜樹ちゃんってさ、荻の事どう思ってるん?」

「荻?」

「うん」

「男友達」

「それ以上は?」

「考えた事ないかな〜」

「へぇ〜」

放課後、夕日が差し込む教室の中で私と新井田は語り合っていた。

話を聞いたところ、やっぱり新井田は遊び人。





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