あの夏の君へ
段々と近づく彼に後ずさりをした。
近くにこんといて…。
心でこだました。
「俺、本気やから」
「…私は好きじゃないし」
「分かってる」
分かってんなら、諦めてや。
「亜樹ちゃん、好きな人いるん?」
「いいひんよ…?」
「なら、荻の事なんて思ってるん?」
「ただの男友達やで?」
「本間にそう思ってるん?」
背中が靴箱に当たった。
もうこれ以上は…逃げられない。
「思ってるよ…」
「そんな事思ってるん、きっと亜樹ちゃんだけやで」
意味深く言った彼は私から離れた。
あんたが言いたいんは…荻のことやろ?
「そんなん分かってるし…」