あの夏の君へ
男の子って頑張り屋で、負けず嫌いで、女の子の前ではかっこいいところを見せたがる。
きっと何より努力家。
荻がそうであるように。
けれど、努力家じゃない人も中にはいる。
ふざけて、遊び呆けて、不真面目に毎日を生きている人だっている。
新井田がそうであるように。
『せっかく…監督が…期待してくれはって、ベンチに入らしてくれはったのに……監督の期待には答えられへんわ、チームに貢献できんわっていうんは…さすがに惨めやろ…悔しい…』
頑張っている人であるからこそ、悔しい想いも凄まじい。
初めて聞いた、彼の本音。
微かに震えている声には、悔しさがにじみ出ていた。