あの夏の君へ





今までずっと答えを出すんが嫌やった。

毎度、気持ちを誤魔化した。

「…あいつとは…ずっと友達で…いたいん…」

もしも私の“好き”が本当やったら?

“好き”って気持ちが本間に心に存在していたら?

私は…どうしたら良いか分からんくなる。

それが嫌やから、気づかないフリをし続けた。

「何で…好きを隠すん…」

「…」

「好き同士やって、亜樹ちゃんも分かってるんやろ?」

「…」

もしも好き同士やって。

もしも付き合えたとして。

もしも幸せな日々が訪れるとして。


「それは一生続くん?」

「え?」

「キスとか、抱き締めるとか。あんなに一緒にいて、できるん?私は…恥ずかしくて、出来んかもしれん…」

じゃあ荻はどう思う?

私を嫌う?





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