あの夏の君へ
けど荻は今までの男とは違った。
荻は今までの男にはないものを持っていた。
そんな彼が私の事を好きなのは何となく分かってた。
言ってしまおうかと悩んだ時もあった。
止めてしまったのは勇気がなかったのもひとつある。
「綺麗事やんけ」
掴まれていた腕を強い力が握り締める。
「それでも、好き同士なんやろ!?友達のままじゃあどうしようも出来ん感情やってあるやん!!何で嘘つくねん。いい加減、正直になれや」
新井田の顔が歪み始めた。
「何で俺が…好きな女の中にいる男の想いを後押ししてんねん……」
そう言って、彼は手を放した。