あの夏の君へ





認めても良いんやと。

何も怖くないんやと。

彼が言った。

心の中にあった何かが弾けた。


その瞬間、心の中で閉ざされていた荻への想いが溢れるように飛び出してきた。


ひとつひとつの想いが心臓を揺らし、体の中へと消えていった。


涙が止まらなかった。

「荻………好きや…」

自分の想いを初めて認める事ができた。

初めて本気で誰かを好きになった。


これが迷った末に出した、悩んだ末に出した、閉ざした末に出した、私の答えやった。

私が出した自分の答えの形。





< 93 / 278 >

この作品をシェア

pagetop