あの夏の君へ
好きって気持ちに気付いた初めての夜はドキドキが止まらなく、眠れなかった。
荻の事ばかり考えていた。
荻の事しか、頭になかった。
眠れないまま朝を迎えて、昨日の夜の気持ちのまま、学校へ向かった。
教室にはいつもの席に座る荻がいた。
私は昨日の喧嘩の事なんて、頭にすらなかった。
「荻、おはよ」
「…はよ」
荻の素っ気ない態度を見て、昨日の喧嘩の事を思い出した。
「…荻、話があるねん…」
今日こそ、あなたに。
今日じゃないとダメやった。
今日こそ、告白のとき――。