あの夏の君へ
「ありがとう」
精一杯の幸せを形に。
「俺と付き合ってください…」
「はい……」
やっと手に入れた、本物の好き。
やっと見つけた、本物の相手。
あなたこそがずっと好きだった。
君にしか心が揺らがなかったし、見向きもしなかった。
「亜樹……こっち来てや…」
恥ずかしがりの荻が口元を押さえながら言った。
「荻が来て」
「足があれやから行きたくても行けへんねんってば…」
そう言いながら、荻は頭を掻いた。
「亜樹ぃ〜」
そう言って、子供みたいにダダをこねた。