あの夏の君へ
「荻…。好き」
そう言って、彼に近づく。
会話しているって実感する度に、夢じゃないんやと感じた。
「亜樹、聞いてや」
「ん?」
「最初に言っときたい事があんねん」
「何?」
目の前に立つ私に荻は真剣な眼差しで話し始めた。
「俺、野球がすっげぇ好き」
「…うん」
「けどそれと同じくらい亜樹も好きやねん」
「…うん」
「俺、夢があってな。どうしても甲子園にお前を連れていきたいねん。そんでホームラン打ってる所を見せたいねんっ。約束したやろ?」
彼の目は光り輝いていた。
それがあなたの夢やねんな。
夢に私がいて私は幸せものやと思ったよ。