雨のち晴れ。
「アドレス、登録しといたさかいに
 いつでもメールとかしてな」
パタンと閉め、返してくれた。
「ありがとうございます」
受け取り、カバンに直した。
「じゃあな」
「はい、さよなら」
来た道を戻る大澤さん。
その後姿は、お父さんに似ていて。
寂しかった。

星は、幾千もの輝きを持ってる。
お父さん、お母さん、紅汰兄ちゃん、冬花。
今も空から見守ってくれてるかな?
逢えるなら、逢いたい。
もう一度、貴方達の声で名前を呼んで。
「逢いたいよ...」
空に呟いてみる。
聞こえるはずもない声なのに。
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