雨のち晴れ。
私、何も答えてないのに...
強引な人なのかなぁ。
「あ、そうや」
男の人は、自分が着ていたジャンバーを脱ぎ
私に掛けてくれた。
「寒いやろ?これ、着とき」
「あ...ありがとう」
男の人に聞こえたのか
分からないくらいの声だった。
今の私は、これくらいの声しか出ない。
「いいんよ、もう着くで」
聞こえたんだ。
嬉しい...

「ここやで、はよ入り」
「お...おじゃまします」
「おかえりー...この子、どうしたの?」
20歳くらいのとても小柄で
可愛い女の人が来た。
「あー、雨ん中立っとったから
 連れてきたんよ」
「そう、お風呂沸かしてくるね」
会話の流れからして...
この人達は新婚さんだろう。
「玄関で立っとらんと、はよ入りーな。
 タオル持ってくるから」
私は、びちょびちょの靴を脱ぎ
案内されるまま、脱衣所まで
連れて行ってもらった。

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