雨のち晴れ。

私の過去

去年-夏-

「北海道まで旅行に行くぞ!!」
朝ごはんを食べていた時だった。
妙に張り切った声でお母さんは言った。
「来週から入る、夏休みの最初の土曜日からねっ」
私は、持っていた箸を机に落としてしまった。
いやいや...
いくらなんでも、早すぎるでしょ!!
しかも、その日は大切な試合がある日だ。
「お母さん、その日...」
「あー!!忘れてたわ!!
 じゃあ、伊吹だけ残ってくれる?」
「それ以外、方法はないでしょ?」
お母さんは、分かりきった事をよく言う。
「そうなの~、じゃあお留守番頼むわね。
 いっぱいお土産持って帰ってくるからっ」
「はいはい」
半分呆れながら、落とした箸を拾い
ご飯を口の中へ運ぶ。



あっという間に、日は過ぎていくものだ。
「じゃあ、行ってくるわね~」
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「火事とか起こすなよ?」
妹の、冬花(ふゆか)に
兄の、紅汰(こうた)。
私はそんなに頼りないのか!?
「鍵はちゃんと閉めなさいよ!!」
「分かってるよ。
 時間は、大丈夫なの?」
「あー。大変!!急がないと!!
 じゃあ、いってきます」
「伊吹、留守番頼んだぞ」
「はーい」
今日から、2泊3日。
お父さん・お母さん・紅汰・冬花の
4人が家を空け、私伊吹一人になった。
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